スパイス  組み込み制御装置の受注製作

自社標準仕様の製作
平成27年10月10日

 汎用の高速シリアル通信機能(9)  CANおよびRTC IF回路
  1) CAN IF回路
 CANドライバICとしてはマイクロチップ社のMCP2551を使用します。CANは外付け回路が非常にシンプルです。検討すべき項目もそれ程多くはないのですが、それでも何個かはあります。個別に検討していきます。

  信号波形の暴れ防止
 PIC CPUのIOポートはかなり強力なドライブ能力があります。これは良い点でもあるのですが、反面高速な信号を扱うときには不利になります。高すぎるドライブ能力はオーバーシュートやアンダーシュートを引き起こす要因でもあります。CANの信号速度は1Mbpsなのでそれほど高速とは言えないのですが、それでも後から部品を追加するのは面倒なので波形の暴れ防止用にダインピン抵抗を入れておきます。製品に使う前には信号波形を確認して不要なら削除します。

  出力ピンのフローティング対策
 PIC CPUからの出力は電源投入時からリセット直後までフローティング状態になります。この状態で外部におかしなデータを送出するのはまずいjので、対策としてプルアップ抵抗を追加する必要があります。幸いMCP2551には送信データ入力ピンにプルアップ抵抗が内蔵されています。特に対策の必要はありません。

  終端抵抗の配置
 基板内部に終端抵抗を配置するので、物理レイアウトとしては終端抵抗が最も長い配線長になるようにレイアウトします。
また、可能な範囲でスタブ(短い配線の枝分かれ)が出ないように、また出来た場合でもその長さが極力短くなるように配慮します。

  AC終端
 基板を作る段階で、ネット上に”CANでAC終端が出来る”との記述を見かけたのであまり細かく考えず、とりあえずコンデンサを入れられるようにしました。しかし、その後色々と調べてみた限りあまり実用的ではなさそうです。CANは弱いハイサイドドライバと強いローサイドドライバの組み合わせで動作しています。上下のドライブ能力が均等でないので、AC終端では信号の変化時にパルス幅が大きく変わってしまいます。全く使えない訳ではないでしょうが、厳しい制約条件下に限定されるでしょう。



  2) RTC IF回路
 RTCはIO接続型とSPI接続型の二つを使用します。ここはIO接続型が対象です。使用するRTC-4543SAのデータシートはここです
このデバイスでも注意点はほぼCANと同じです。フローティング対策のためPICからの出力ピンにはプルダウンを行います。これらの信号は’1’でアクティブです。
また、信号波形の暴れ防止の目的でダンピング抵抗を入れておきます。特にCLK信号の波形は重要です。十二分にダンピングしておく必要があります。
下図の下向きの三角形がプルダウン抵抗を示しています(コモンピンである1ピンがGNDに接続されている)。


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